Asteroidal occultation Prediction


【注目】 小惑星(319)Leona によるベテルギウス食 update:2023.11.28
2023.12.12 01h08〜26m UT 恒星 :ベテルギウス(α Ori, HIP27989) 0.5等 赤経 05h 55m 10.344s 赤緯 +07°24' 25.65"(J2000) 小惑星:(319)Leona 14.2等 推定直径 67km +/-3km 減光 :約 13.7等 継続時間 最長 12.2秒 掩蔽帯:中央アジア − 南ヨーロッパ − 米国フロリダ 備考 :恒星と小惑星の視直径はほぼ同等と見られ、金環食となるか皆既食となるかは不明。 減光13.7等は、皆既食を想定しているが、不確定な要素が大きい。 OCCULTによる予報(計算:早水)update 2023.11.28 The target star data: UBSC, The asteroid data: JPL Horizons#71 予報図 トルコ, ヨーロッパ, 米国フロリダ 予報データ 経緯度数値データ 掩蔽帯マップ/布陣計画用 (update 2023.11.28) 中央のラインから、予報中心線(赤),掩蔽帯北限と南限(紺色),予報誤差3σ(緑),配置のための等間隔線(橙) 予報中心線は二重になっており、これは金環食帯を示します。しかし、後述の通り不確定要素を大きく含んでいます。 関連の予報サイト Edwin Goffin(IOTA/ベルギー)による初期予報 Steve Preston(IOTA/米)による改良予報 Occult Watcher Cloud
この観測の重要性について オリオン座の一等星ベテルギウスが小惑星に星食されるという、信じがたいほど極めて貴重な現象です。 通常、恒星は理想的な点光源とされ通常は無視できますが、実際には極めて微小ながらも視直径を 持っています。ベテルギウスは、もっとも大きな視直径と持つ恒星であり、このためにこの現象は瞬間的 ではなく緩やかな減光と増光を起こすと考えられます。予報によると、 小惑星の視直径= 51mas ベテルギウスの視直径= 48.1mas [CHARM/CADARS, 51 measures] で、なんと視直径がほぼ同じ、誤差を考慮すると恒星の方が大きいかもというこれまでの恒星食では 有りえなかった驚きの現象となり、金環食となる可能性さえもあります。 ■ 予報の誤差について (update 2023.10.01) (1)予報恒星食帯 恒星位置に採用している UBSC catalogue は、Hipparcus2 cat よりはるかに信頼性の高い星表 です。経路の幅方向の誤差は、わずか数masで実距離では +/-2.6km しかありません。 (Gaia星表は7等より明るい恒星では誤差が大きい。このUBSC星表は、明るい恒星を補うために最近 編纂された。) (2)金環/皆既の可能性 2023.9.13にスペインで観測された恒星食の結果から、小惑星の直径はこれまでの推定61kmよりも 大きな 80.3×54.3km の楕円形状が得られました。 このため、恒星食帯中心線上ではこれまでの推定よりも小惑星によるベテルギウスの遮蔽は大きくなり、 減光の深さも大きくなる可能性があります。しかし、食の瞬間の小惑星の位相は不確定で、ベテルギウス の視直径も誤差を含んでおり、現時点ではやはり観測してみないと分からないことが非常に多くあります。 現在までに分かっている小惑星とベテルギウスの視直径は次の通りです 小惑星(319)Leona :実直径 67+/-3km。現象時の視直径49〜53mas。(1mas=0.001") ベテルギウスの視直径:34, 47, 51, 37, 49.4, 46, & 53 mas(出典 JMMC Stellar Diameters Cat2) このことから、掩蔽の中心線上では、まだ皆既食から金環食までの可能性がります。 ベテルギウスは2023年6月現在大幅に増光中で、これは過去の経験上は、視直径が小さくなっている 可能性があります。 (3)減光の大きさ 上記のとおり小惑星とベテルギウスの視直径の誤差の関係で大きく変わってきます。 ・小惑星がベテルギウスを完全に隠す(皆既)の場合: 減光 13.7等(ほぼ消失) ・ベテルギウスを最大・小惑星を最小と仮定した場合: 減光 1.1等(金環食) 動画による変光曲線が適切な観測によって多数寄せられれば、ベテルギウスの形状に関する情報が 得られるかもしれず、恒星研究の立場からも貴重な現象となります。 ○ケースによる変光シミュレーション 縦軸目盛: 左=減光比率,右=等級
減光がほぼ最小となる推定平均的な推定減光がほぼ最大となる推定
距離
時間
条件視直径
小惑星44mas
ベテルギウス55mas
金環食(減光 1.1等)
視直径
小惑星51mas
ベテルギウス48.1mas
皆既食(減光 13.7等)
視直径
小惑星53mas
ベテルギウス35mas
皆既食(減光 13.7等)
観測の方法 この現象は、一等星が小惑星に隠されるという空前の天文現象を眼にすることができるだけでなく、 恒星研究にとっても千載一遇(いやもっと稀有)のチャンスとなります。 科学研究に資するための観測方法については、恒星研究の専門家から情報を提供いただき次第 このページにて紹介する予定です。 ■ 過去に観測された明るい恒星食 (追記 2022.9.9) 小惑星による一等星の食について、過去の事例を紹介します。2.0等より明るい恒星が観測された事例は以下。 惑星/小惑星 日付 対象星 等級 P2M00 金星 1959 7 7 レグルス mag1.3 381 Myrrha 1991 1 13 γGem mag1.9 166 Rhodope 2005 10 19 レグルス mag1.3 1669 Dagmar 2015 5 24 レグルス mag1.3 268 Adorea 2016 10 13 レグルス mag1.3 小惑星(391)MyrrhaによるγGem(mag1.9)食は、日本で観測されました。 2002年4月7日には小惑星(55)Pandoraによるポルックスの食が北海道で見られるはずでしたが、天候が悪く観測されませんでした。 上記のとうり、小惑星による1等星食は、過去に4回それもすべて対象星はレグルスです。レグルスは黄道帯に あるから小惑星と遭遇しやすいのは理解できますが、スピカ,アルデバラン,アンタレスがないのも意外です。 来年の小惑星によるベテルギウスの食は史上2つ目の1等星食になる可能性濃厚です。 もし、金環食となると観測にかかるものでは、おそらく史上初となるかもしれません。
観測に成功されたら...
観測に成功されましたら、早水勉までご報告をお願いいたします。観測されましたデータは、IOTA 他、広く公開され星食の研究に役立てられます。
早水勉への報告先

必要なデータは、以下です
1.観測者氏名および氏名のローマ字表記
2.観測地および観測地の経緯度と標高,測地系
3.観測開始と観測終了の時刻
4.減光が観測されたか? 減光が観測されなくとも重要なデータです。
5.減光がおきた場合の時刻:減光開始の時刻および減光終了の時刻
6.観測機材
7.時刻保持の方法

です。可能な方は、是非ビデオによる観測をお願いいたします。 時刻保時のためには、極力、GPS時計、短波時報(外国)などの正確な時報を用いてください。 固定電話による117時報も 0.03秒程度の信頼性があります。 携帯電話の時報、電波時計、は1秒以下の遅れがありえますので、推奨できません。