2022.10.21 小惑星ファエトン による掩蔽の観測成果


 2022年10月21日 23時32分(日本時間)頃 北海道で観測された 小惑星ファエトン(3200 Phaethon)による 10.8等星(TYC 2844-0735-1)食の結果です。
この小惑星ファエトンは、JAXAのDESTINY+ミッションの対象となっています。事前の地上からの観測のために DESTINY+サイエンス検討チーム により恒星食の観測協力を求められていました。この観測は広く参加者を募集され、プロの研究者とアマチュアの観測者の39名19地点による 観測隊が編成されました。観測当日はおおむね天候に恵まれて、9地点で減光を観測し、5地点では通過が観測されました。

減光を観測(敬称略,北から)
石田正行(新標津町), 吉田二美・洞口俊博・石田 魁・大河内智菜美(新標津町/産業医科大学・国立科学博物館・関西学院大学), 林宏憲・M垣 舞・當銘優斗(新標津町/関西学院大学), 三田宏幸(北見市), 野田寛大・樋口有理可・関口朋彦・大澤亮・高木聖子(札幌市/国立天文台・京都産業大学・北海道教育大学旭川校・北海道大学), 松浦周二・大内基生・並川咲久良・瀧本幸司(新標津町/関西学院大学), 安江水琴・白取万穂・鷲尾琉志郎・原悠大・浅田智裕・藤瀬由羽・小森穂駿(ニセコ町/北海道大学天文同好会), 吉田秀敏(札幌市), はしもとじょーじ・茂木遥平(倶知安町/岡山大学・北海道大学天文同好会)

通過(食なし)を観測
加瀬部久司(当別町), 早水 勉(当別町/佐賀市星空学習館), 上田幸和(当別町/JAC), 磯部健(当別町/JAC), 宮下和久(当別町/星食観測日本地域コーディネーター)

観測不成立(天候,機材不調 等による)
秋田谷 洋(当別町/千葉工業大学), 副島勉・渡辺和郎(当別町/佐賀天文協会), 山村秀人(寿都町/NPO花山星空ネットワーク), 松岡亮(倶知安町/北海道大学天文同好会), 津田浩之(網走市/銀河の森天文台)

   2022年10月21日活動小惑星Phaethonによる恒星食の詳細ページ
   観測者の配置マップ

ご協力いただきました皆様には、この場を借りまして御礼申し上げます。


関連のサイト
JAXA DESTINY+ミッションの概要
千葉工業大学 深宇宙探査技術実証機DESTINY+

下図は整約計算の結果です。2021年10月3日UTに観測された成果に対して、ファエトンの経度で 約73度異なる断面の取得に成功しました。早水の整約(上)には、2021年10月3日の成果を取り入れた、 Sean Marshall (Arecibo Observatory and University of Central Florida)氏による(3200)Phaethon の3D形状モデル を重ねています。これはたいへんよく一致していることが分かります。
一方で、JPL(米 ジェット推進研究所)による軌道は、約半掩蔽帯程南にシフトしていることが分かり、今後のファエトンの 軌道モデルに採用されました。この成果はいち早く Dave Herald氏(IOTA)を通じて JPL に報告され、わずか12日後の11月2日は 新モデルに改良されました。
DESTINY+チームでは、今後も軌道の変化を観測するために、ファエトンによる恒星食の観測を継続して行うとしています。

2022.10.21小惑星(3200)Phaethon による掩蔽
Reduced by Tsutomu Hayamizu. (Update 2022.11.7)

2022.10.21小惑星(3200)Phaethon による掩蔽
Reduced by OCCULT(Hayamizu). (Update 2022.10.21)

※ 観測結果は、DESTINY+サイエンス検討チームのメーリングリストに公開されたものです。



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