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IAUネーミングスター/従来と異なる星の固有名



国際天文学連合(IAU)のネーミングスターワーキンググループ により、星の固有名の公称化の作業が進められています。すでに多数の恒星の固有名が発表されています。 これらの中には、従来から普及している名称とは異なっているものも散見されます。 ここでは、日本国内でよく参照元になっていると思われる、「星座ガイドブック/春夏編/秋冬編(藤井旭著:誠文堂新光社)」 「ステラナビゲータ10」に示される固有名と異なっているものを抽出しました。
むろん、恒星の固有名には長い歴史の中で、ひとつの名前に帰着しないものも多く、必ずしもIAUの推奨するものに固執する必要はないと考えます。 しかしながら、天文台やプラネタリウムにおいて星の固有名を紹介する場合には、異なった名称が採用されていることを知っておくことは有益でしょう。 天文普及の現場で参照いただければ嬉しく思います。

[2021.5.29 追記]
2019年にバージョンアップされた、ステラナビゲータ11 では、IAUの Naming Star に準拠した恒星の固有名への改訂が進められていることが分かります。 ステラナビゲータ11 による表記も併せて示しました。また、過去の恒星の固有名の研究「H.B.Rumrill(1936)」「Paul Kunitzsch(2006)」 を主に参照して、発音のカタカナ表記を HAL提案 として更新しました。

IAU Naming Stars による固有名の日本語表記は、当サイトの感覚で記しています。このため、不適切なものが 含まれる可能性がありますことを予めご容赦ください。また、ご覧になって誤りや修正すべき点などお気づきの場合には、 ご教示いただけると幸甚に思います。
IAU Naming Stars では不定期に星の固有名が追加されています。当サイトでもそのたびに拡充していく予定です。


星座 バイエル符号  IAU
(2018-6月公開分)
HAL提案による
カタカナ表記
(脚注1)
星座ガイドブック
春夏編/秋冬編 藤井旭
ステラナビゲーター10 ステラナビゲータ11  備考 履歴 
いて γ  Alnasl アルナスル ナシュ アルナスル アルナスル  
いて ε Kaus Australis  カス・オーストラリス アル・ナスル カウス・アウストラリス カウスアウストラリス  
うしかい ε  Izar エザル ミラク/イザール プルケリマ イザール  
エリダヌス ο1 Beid  バイド アル・バイード ベイド バイド  
エリダヌス υ2 Theemin  セミム ※1 テーミン  ※1 星座ガイドではυ1〜υ4に「テーミン」または「ベーミン」  
おうし β Elnath  エルナト ナート エルナト   
おおぐま η Alkaid  アルカド ベネトナシュ アルカイド アルカイド   
おおぐま κ Alkaphrah  アルカフラ タリタ・アウストラリス タリタアウストラリス アルカフラー  星座ガイド,ステラ10 ではχにつけられている  
おおぐま χ Taiyangshou  タイアンショ アル・カフラー アルカフラ タイヤンショウ   
オリオン λ Meissa  マイサ アル・マイザーン メイサ メイサ   
かに β Tarf  タルフ アルタルフ アルタルフ タルフ   
かんむり α Alphecca  アルフェカ ゲンマ アルフェッカ アルフェッカ   
ぎょしゃ ζ Saclateni  サクラティニ ヘドゥスT ホエドゥスT サクラテニ   
くじら β Diphda  ディフダ デネブ・カイトス デネブカイトス ディフダ   
ケフェウス ξ Kurhah  クルハ アル・クルハー アルクルハー    
ケンタウルス α Rigil Kentaurus  リジル・ケンタウルス トリマン リギルケンタウルス リギルケンタウルス  IAUでは「トリマン」は伴星の固有名 2019.3.1 追加
ケンタウルス β Hadar  ハダル アゲナ ハダル ハダル   
さそり δ Dschubba  デュッバ ドシュッバ ジュバ ジュバ   
さんかく α Mothallah  モサラ カプト・トリアングリ カプトトリアングリ モサッラー   
しし ζ Adhafera  アダフィラ アルダフェラ アダフェラ アダフェラ   
てんびん γ Zubenelhakrabi  ズベンエルアクラビ ズベン・エル・アクラブ ズベンエルハクラビ  星座ガイド,ステラ10 ではηが「ズベンエルハクラビ」  
はくちょう ε Aljanah  アルジャナ ギェナー ギェナー アルジャナー   
ふたご μ Tejat  テジャト テジャト・ポステリオル テジャトポステリオル テジャト   
ふたご η Propus  プロプス テジャト・プリオル プロプス プロプス   
ヘルクレス κ Marsic  マルシク マルファク マルファク    
ペルセウス α Mirfak  メルファク アルゲニブ ミルファク ミルファク   
ペルセウス ξ Menkib  メンキブ ※2 メンキブ メンキブ  ※2 星座ガイドでは ζに「メンキブ」  
λ Suhail  スハイル アルスハイルアルワズン スハイル   
ほうおう α Ankaa  アンカ ザウラク アンカー   
みずがめ δ Skat  スケイト シェアト スカト スカト   
みなみじゅうじ β Mimosa  ミモザ ベクルックス ミモザ   
みなみのかんむり α Meridiana  マリディアナ アルフェッカメリディアナ メリディアナ  
やぎ α Algedi  アルジェディ ギェディ アルゲディ アルゲディ   
りゅう γ Eltanin  エルタニン エタミン エルタニン エルタニン   
りゅう δ Altais  アルテイス アルディブ ノドゥスU アルタイス   
りゅう ζ  Aldhibah アルダイバ ノドゥスT ノドゥスT アルディバ   
りょうけん β Chara  カラ アステリオン カラ カラ   
わし ζ Okab  オカブ デネブ デネブ オカブ  星座ガイドではδに「デネブ・オカブ」  

(注1)HAL提案:日本語表記の考え方
1. すでに日本で定着している表記は、原語の発音と異なっていてもこれを優先する。
   例 αOri  原語に近いカタカナ=ベテルゲルズ  定着している日本名=ベテルギウス
   例 αAql  原語に近いカタカナ=アルタル  定着している日本名=アルタイル
   例 ζUMa 原語に近いカタカナ=メザル,メーザル  定着している日本名=ミザール
2. 原語の発音を参考にカタカナ表記を提案する。優先はおおむね Rumril, Kunitzsch(注2) の順とするが、日本ですでになじんでいると考えられる場合は総合的に判断する。
 Rumril を優先する理由は、これが古い研究ですでに普及している可能性を想定したもので、積極的な理由ではない。
 Rumril, Kunitzsch にも掲載がない場合は、英語の発音を採用する。これにもない場合は、HALの勘と経験で記載。
3. 日本語表記の場合、促音や長音を省略することが多いことから、原語の発音からこれらを修正する場合がある。
   例 αPsA 原語に近いカタカナ=フォーマルハット 定着している日本名=フォーマルハウト
   例 αCVn 原語に近いカタカナ=コールカローリ  定着している日本名=コルカロリ

(注2)Paul Kunitzsch and Tim Smart 「A Dictionary of Modern Star Names」/ Sky Publishing


更新履歴
2019. 2.27 初版掲載
2019. 3. 1 Cenα に記事を追加
2021. 5.29 IAUのカタカナ表記をHAL提案表記に分割して更新。ステラナビゲータ11の表記を追加


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