2022.10.6 海王星の衛星トリトンによる恒星食の成果
2022年10月6日 23時37分(日本時間)頃 観測された 海王星の衛星トリトンによる恒星(TYC 5254-00839-1 11.5等)食の結果です。
この現象において、北海道の3地点、りくべつ宇宙地球科学館、吉田秀敏さん(札幌市)、三田宏幸さん(音更町)では観測結果が得られ、りくべつと吉田さん
は食の減光から復光までとらえることに成功しました。また、中国北京の中国科学院大学の望遠鏡でリモートにより観測した、ロシアのフィリップ・ロマノフさん(Filipp D. Romanov)
のグループも観測に成功し、報告を頂きました。りくべつ宇宙地球科学館、吉田秀敏さん、ロマノフさんの観測からは、観測上最も重要なセントラルフラッシュも記録されました。
これは、食がほぼ星食帯の中央付近で起きたことを示す現象で、このふるまいを詳細に分析すると、トリトン大気の分布や密度を推定することができます。
この現象は天文学的価値が高いために、PSI(惑星科学研究所/ Planetary Science Institute)/MIT(マサチューセッツ工科大学/ Massachusetts Institute of Technology)の
観測者が、りくべつ宇宙地球科学館(Amanda Bosh氏,Stephen Levine氏)と仙台市天文台(Amanda Sickafoose氏)で観測に臨みました。りくべつ宇宙地球科学館では雲を
通しての観測となりましたが、観測に成功しました。仙台市天文台では30分前まで晴天でしたが、現象時刻には厚い雲に覆われて観測に失敗しました。
PSI/MITは、タジキスタン、中国、韓国にも観測者を派遣しており、タジキスタンと中国では観測に成功しています。PSI/MITによる成果については論文にて公開されることでしょう。
この現象は全国の30地点を超える観測施設やアマチュア観測家が観測に臨みましたが、残念ながら前述の3地点以外は全て天候不良により観測することができませんでした。
ご協力いただきました皆様には、この場を借りまして御礼申し上げます。
観測者の配置マップ
下図は整約計算の結果です。
Reduced by Tsutomu Hayamizu. (Update 2022.11.28)
観測から得られた画像とライトカーブ
以下は、吉田秀敏さん(札幌市)と Filip D. Romanovさん(北京でリモート観測) の観測から得られたライトカーブです。
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現象104分前 20:52:18.052 | 潜入始め直前 23:36:27.949 | 減光中/前半 23:37:02.449 | セントラルフラッシュ 23:37:37.948 | 減光中/後半 23:38:15.947 | 出現直後 23:38:46.948 |
観測:吉田秀敏さん(札幌市)
Observed by Hidetoshi Yoshida. (2022.10.06)
Observed by Filip D. Romanov. (2022.10.06)
関連のリンク
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