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現代では、ふたご座のモデルは、ほぼ疑いなくカストルとポリュデウケスであるとされています。 しかし、古典では別の神や人物がふたご座であるという説があります。
フラムスティード星図(1795年)のふたご座。一人は竪琴を、もう一人は棍棒を持っている。 |
さて、ふたご座のモデルは、ほぼ疑いなくカストルとポリュデウケスであるとされています。
しかし、古典では別の神や人物がふたご座であるという説もあります。
「太陽神アポロンとヘルクレス」「ゼトスとアンピオンの双子」「トリプトレモスとイアシオン」等です。
ゼトスとアンピオンは、ゼウスとアンティオペの男児の双子で、後にテーバイの英雄となります。
ゼトスは武勇に優れ、イアシオンは音楽に長けていました。
トリプトレモスとイアシオンは、デメテルの聖域エレウシスの英雄です。
残る「アポロンとヘルクレス」はあまりにメジャーなキャラクターですし、
ゼウスの子というだけで双子ではありませんから、意外に思われることでしょう。
しかし、プトレマイオス(AD83-AD168頃)は、アルマゲストでは ふたご座を「ディオスクロイ」と記す一方で、
テトラビブロス(注1)ではカストルを「アポロの星」、ポルックスを「ヘルクレスの星」と見なしています。
この説は主流ではないにしても、後世まである程度受け入れられていたと考えられます。
フラムスティード星図(1795)やウラノグラフィア(ボーデ、1801)等の近代のいくつかの星図では、
一人はアポロンのシンボル竪琴を、もう一人はヘルクレスのシンボルであるこん棒を持った姿で描かれています。
(注1)テトラビブロス: プトレマイオスによる占星術の哲学と実践に関する著作
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