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白道(月の通り道)がオリオン座の近くにある理由を、アルテミス(月の女神)が猟師オリオンを慕っているため という話があります。しかし、この話は古典神話にはありません。この話は野尻抱影氏が創作した可能性があります。
ディアナとオリオンの死 (1685) ダニエル・ザイター作(オーストリア)。/ルーブル美術館 所蔵 ディアナはアルテミスのローマ名です。 |
「星座の話」野尻抱影、初版1954年より
女神は、それがオリオンとも知らず、弓と矢をとって、それを射ると、矢はあやまたずあたりましたが、
岸にうちあげられたのが、愛する狩人だったので、ひどくかなしみました。
アルテミスが大神ゼウスに願って、オリオンをほしぞらにあげてもらい、自分の銀の車で走って行く時に、
いつも見えるようにした。
しかし不思議なことに、この話の後段「月がオリオンの近くを通る理由」は海外の解説書には見当たりません。 このことを、星座研究家イアン・リドパス氏,スカイ&テレスコープ誌編集者ケリー・ビーティ氏ほか ヨーロッパと米国の識者に尋ねたところ、彼らはこの伝承を知らないといいます。 野尻氏のリファレンスが分からないために断定は難しいものの、これはおそらく野尻氏の創作ではないか と推測され、少なくとも日本のみで流布している挿話でしょう。
なお似ているもので、
「オリオンの犬(シリウス)もオリオンとともに天にあげられ、彼らは天に昇ってからも
プレヤデス姉妹を追いかけている。」
という挿話は海外にも存在しています。
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