ベテラン観測者向け

OCCULT4準拠/小惑星による恒星食観測の報告方法


小惑星による恒星食の観測成果を報告くださいますと、その成果は 国際掩蔽観測者協会(IOTA/International Occultation Timing Association) を通じて、世界中の研究者に共有され天文学の進歩に貢献できます。 ここでは、この分野に精通された観測者の方向けに、 星食観測統合ソフト OCCULT4 のフォームに準拠したOBS.XML形式の報告方法を記します。 (この方法でなくとも、一般向けの報告形式でも報告できます。)


【1】星食観測統合ソフト OCCULT4 のインストール
IOTAのサイトから無料で提供されています。インストールの手順も OCCULT4のサイト(英語)に掲載されています。

【2】OCCULT4 の観測記録のウインドウを開く
(1) Asteroidal observations
(2) Add/Edit/Plot observed asteroidal occultation
の順にクリックする。
[Asteroidal observations editor]のウインドウが表示されます。 途中でいくつかの無関係のウインドウや警告ウインドウが表示されることがありますが、 ここでは無視するか閉じてしまってよいです。

【3】観測記録の入力
[Asteroidal observations editor]ウインドウの中の右図の赤で示したエリアが報告に必要な入力をする部分です。
入力は全て、半角英数字で行います。
※ この上の部分の[Date][Star][Asteroid]を入力すると、OCCULT4 による整約計算も実行されますが、報告のためには必須ではありません。
IOTA-jp 作業グループにより、他の観測成果と統合されます。

報告の入力エリアの日本語表記を以下に示します。
赤文字は、必須の入力項目と操作
青文字は、必要に応じて任意の入力項目と操作
です。
「Date」の欄は現象の日時を入力します。
「Country or state(国)」の欄は日本は「JP」と記入します。
「Times(潜入/出現 時刻)」は世界時(UT)で記入します。この欄は、通過の観測の場合は、減光が起きた場合のおよその時刻(予報時刻)を記入します。

入力エリア中のプルダウンメニューについて示します。
○望遠鏡タイプ
ここに含まれない形式では近いものを選択してください。(例:カセグレン ->[SCT] 等)
「Other」を選択の場合はできれば[Free text]欄に記すと役立ちます。

○観測方法(更新 2021.11.22)
WATECカメラ(アナログビデオ),ZWO社ASIシリーズ(デジタルビデオ),QHY社カメラ(デジタルビデオ)は、すべて「Analogue or Digital video」です。 ここに含まれない形式では近いものを選択してください。
「Other」を選択の場合や機材はできれば[Free text]欄に記すと役立ちます。

○保持方法
ここに含まれない形式では近いものを選択してください。
「Other」を選択の場合はできれば[Free text]欄に記すと役立ちます。

特に記しておきたい備考,特記事項,機材などは、[Free text (自由記入)]欄に記します。

(3) [Add as new #](登録)
をクリックして入力を完了します。


【4】入力例
入力が完了すると、ウインドウ下部の白枠内に、観測記録が登録されます。
白枠内に表示されるデータは、登録されたデータの一部が表示されます。情報量が多い場合は、この一行の表示に収まりませんが観測記録は正常に保存されています。 例として、時刻の誤差は小数点以下3桁まで入力できますが、白枠内の表示は1桁までしか表示されていません。

食による減光の観測された観測報告の入力例

通過(食なし=No occn detected)の観測された観測報告の入力例

○ 修正,削除 の方法
一度登録したデータを修正するには、
(1) 観測記録のラインをクリック
(2) 記録データを修正
(3) 右端の「REPLACE record #」をクリック

登録したデータを削除するには、
(1) 観測記録のラインをクリック
(2) 右端の「DELETE record #」をクリック


【5】入力項目を報告ファイルにする
(4) メニューから [File]->[Save] の順にクリック

ファイル名には日付や観測者名などの分かりやすい名称を付ける。
(5) [保存] をクリック

○ 完成した報告ファイルの例
減光を観測 sumple-positive.xml
通過を観測 sumple-negative.xml
※ 右クリックしてダウンロードできます。ファイルは、「メモ帳」等のテキストエディタで読めます。


【6】観測データの報告
以上の作業でできた XML ファイルを、ファイル添付にて、[IOTA-jp]作業グループ

に送ることで観測の報告を完了します。
※ 上記メールアドレスは、迷惑メール防止のために画像にしています。恐縮ですが、文字を打ち直してメールしてください。

報告されたデータは、内容のチェック後に、当サイト内の
Result of Asteroidal occultation に掲載し、IOTAに報告されます。
IOTAでは、IAU(国際天文学連合)のデータベースにも登録されるとともに、OCCULT4 で アーカイブされ、[Astedoid observation editor]ウインドウの中の [Historical observation] で閲覧することができるようになります。
※ データベース化には通常数ヶ月を要します。
※ 減光の観測されていない現象は、データベース化されません。


担当者(敬称略)
早水勉(HAL星研),相馬充(国立天文台),Dave Herald(IOTA), Steve Preston(IOTA president)


更新履歴
2020.12.01 初版掲載
2020.12.03 減光観測の報告例の画像と sumple-positive.xml を変更
2021.11.22 観測方法の選択を Dave Gault氏の指摘に従って適切に変更。
2023. 1.26 「通過」の表記が「Miss」から「No occn detected」に変更されたことに伴う修正。その他、微小な修正。


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